東洋医学の治療原則に “三因制宜(サンインセイギ)” という考えがあります。

三因制宜とは

因時制宜(インジセイギ)・・・季節や気候変化に基づき、治療法を考慮する。

因地制宜(インチセイギ)・・・地理、気候条件、生活環境等に基づき、治療法を考慮する。

因人制宜(インジンセイギ)・・患者の体質・年齢・性別に基づき、治療法を考慮する。

すなわち、同じ病気、病態であっても、三因すなわち「時」「地」「人」の三つの要素、具体的には季節やその土地の環境、年齢、性別、体質などに応じて治療方法が異なるという考えです。

季節でいうと、各季節にどのような症状が起こりやすいか、ある症状があった時に、その症状は各季節においてどのような影響受けやすいかを把握・考慮する。環境でいうと、住んでいる環境がどのようなところであるか、暑いところなのか寒いところなのか、湿気が多いところなのか乾燥しているところなのか、それぞれの環境が身体にどのような影響を及ぼすのかを把握・考慮するということですね。

患者さんを診る上では、この三因制宜に基づき、その患者さんがどのような環境で育ち、お困りの症状がいつから、どのような環境にいる時に起こったのか、悪化したのかということを、病のメカニズムを把握する上でもしっかり考えなければなりません。

当院で初診の際にゆっくりお時間をかけて問診をさせていただくのは、このことからですね。

また、当院で治療を受けられている方の中には、同じ症状の治療をしているのに、鍼をするツボがいつもと違い「あれ?なんで今日は違うツボなの?」と思われたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、これは三因制宜の考えに基づいてツボを変えていることが多いです。

もし治療で何か疑問に思うことがありましたら、何でも気軽に聞いてくださいね(^_^)